

南智子
結の里作り
《 事業概要 》
紫香楽宮跡の上での自然栽培による米作りを経営の基盤とし、空家を活用し都市部の人や田舎暮らしに関心のある人に、米作り、野菜作り、梅干し作り、かまどで調理などの農村体験を地域住民を講師にして、短期的にはイベントで、長期的には滞在プランで提供する。農産物販売料、宿泊費、イベント参加費などにより収益を出し、集落の景観維持及び農地の維持、空家活用による治安改善、関わる人々の相互的な生きがい作りの場として発展させます。
《 経歴・想い 》
私の生まれ育った場所は、約1300年前聖武天皇が築いた「紫香楽宮」という都でした。かつての都は今、田んぼの下に眠っています。我が家では5代前の先祖まで、どんな仕事をしていてどんな人だったという事が語り継がれており、林業、稲作、砥石の切り出しなどを生業としてこの土地を守り続け今日まで繋いでくれました。
現在、集落の大半が田んぼという中で、離農率が60%、高齢者が80%という危機的状況にあることを知りました。先人たちの想いの詰まったこの場所を自分の代で荒らしたくない、子や孫そしてもっと先まで繋ぎ続けたいと強く想い、この里を守るためには農業をやるしかないと決意し、4年前から集落営農組合に入り水稲栽培に従事し始めました。集落で働き始めると高齢者や離農のことだけでなく、耕作放棄地、山の荒廃、独居老人世帯の増加、空家の増加、それに伴い空き巣が発生し治安が悪化しているという様々な課題が見えてきました。
古くは山も田んぼも財産として大切に守り続けられ、神々を祀り、「結」と言われる相互扶助の精神で共同作業を行い、農作業の肉体的負担と経済的負担を人々の繋がりでカバーしてきました。自然はとても豊かで膨大なエネルギーを持っているという事を忘れていませんか?外へ求める必要がないほど日本には豊かな自然資源があります。今では負の財産と言われ、その資源を活用できず放置してしまっています。
昨今では一生のうちに5人に1人が精神疾患を患うと言われており、その改善の手立てとして農作業によるメンタルヘルスケアが広がりつつあります。人口が減少する田舎と土から離れて暮らす人々を結の精神で繋ぎ、労働人口の獲得とメンタルヘルスケアを兼ねた事業を展開していきたいと考えました。太陽の光を浴びて土に触れ、自ら作物を作り出す喜びが、人本来の持っている能力を目覚めさせ、一人一人が平和を体現していける社会になると信じています。それを聖武天皇が「すべてのものが心安らかに暮らせる世の中になるよう、廬舎那仏を造りたい。」という詔を発せられたこの場所で始めていきたいと思っています。
取得資格:製菓衛生師、AEAJアロマテラピー検定1級、庭園技能士